スポーツ走行ユーザーなら気が付いているかもしれません。
A110のクラッチにダイレクト感が無いことを。
そしてサーキットでの激しいアクセルワークの際にクラッチがニュルっと滑る感触がある事を。
滑る感覚がわからなくても、アクセルオンに駆動がついてこないと思いませんか?
通常のオートマ車の場合、クラッチ(トルクコンバータ)が滑るようなフィーリングで走るのは機構特性からごく普通の事です。それを嫌い、ダイレクト感を求める場合はいわゆるDCT(ルノー名称EDC)が採用される車が多いです。
特にEU圏の車両や高出力スポーツカーはDCTの採用比率が高いようです。
話はアルピーヌA110になりますが、冒頭書いたようにクラッチがダイレクトにつながらない車です。
特に低回転域からのベタ踏み時にニュルっと(ワンテンポ遅れて)つながる感覚が強くなります。
正確に言うならば、そのようなセッティングにされているという事です。
メーカーも公表していますが、A110はトランスミッションの耐トルク許容値が大きくないため、意図的にクラッチのロックアップが低く設定されておりエンジン出力がダイレクトに伝わらないセッティングとなっています。
このため、サーキット等でアクセルやシフトワークが煩雑になるシチュエーションではクラッチが滑り気味になる傾向がありまが、この状態で困るのが走行フィーリングの悪化とクラッチの摩耗、それに伴う発熱となります。
結果、クラッチの温度センサーが発熱を感知しフェールセーフ(出力カット)が介入する事態となります。
フェールセーフ自体は機械部品を守る機構なので否定しませんが、困るのが介入する許容値があまりにも低すぎるという事です。この状態ではミッションは永遠に壊れないかもしれませんが、クラッチがあっという間に減ってしまう事が目に見えています。それだけではなく、クラッチのロックアップが低いことからエンジン出力がすぐに駆動系に伝わず、パワー感度が良くないという問題があります。
そこで、それらの改善を目的にEDCギヤボックスチューニングを設定することに致しました。
トランスミッションの寿命が縮まるんじゃないかと思われるかもしれませんが、心配はありません。
プログラムされているトルクリミッター設定値は変更せず、クラッチの早期ロックアップとシフトスピードの改善をメインとした内容としています。シフト回転数などは変更はありません。元々の許容値が低すぎるのでそれを少し上げてあげるイメージです。
結果、トルク伝達スピードが早くなるため車自体が速くなるという事になります。普段からサーキット走行を行っている方はもとより、峠走行などでも十分に変化(速さ)を楽しむことが出来るチューニングです。
競技ユーザーにおいてはレギュレーションに抵触せずタイムアップも可能かもしれません。
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